ubuntuPCを、NASに接続してみた

 2025年10月14日に、Windows10の公式サポートが終了!ということで、私の使っているデスクトップPCをLinux化しました。ディストリビューションは、GUI環境がそれなりに整っていてWindowsユーザーにも抵抗感少ない!という噂を信じて、ubuntuにしました。
 その際、NASへの接続、ファイル共有化がなかなかうまく行かなかったので、その対応手順について整理してご紹介したいと思います。

1.やりたいこと(目的)
 我が家のネットワークは、図1のように、WindowPC、携帯、タブレット等が無線LANでつながっており、
これら端末とNAS(Buffalo:LS210D)との間で、ファイル共有を行っています。ubuntu端末についてもNASとのファイル共有(NAS上にある動画ファイルを再生する、文書ファイルを読み書きする等々)することが、目的となります。

図1:我が家のネットワーク構成

2.問題点
ubuntu立ち上げ直後、「ファイル」ユーティリティーでみると、NASは認識されているように見えます。(図2)
 中身を見ようと、LS210DC9Cフォルダをダブルクリックすると、NASに設定されているユーザー名とパスワードの入力が求められるので、入力します。

 ちなみに、Buffalo製品の初期値は、ユーザー名:admin,、パスワード:passwordです。(図3)
フォルダを掘り下げていくと、図4のように表示されます。  図4

 一見、うまくいっているように見えるのですが、いざ作業を行おうとすると、挙動が怪しくなっていました。
具体的には、「開けるファイル」と、「開けないファイル」があり、、、
ざっと確認したところ、
「開けるファイル」
○PDF
○画像(JPEG)
○テキスト(txt)

「開けないファイル」
○Office関連 (docx,xlsx等)
○動画(mpg)
でした。

 ただし、NASから直接開けないExcelファイル等でも、PC(例えばDocumentsフォルダ)にファイルコピーすることは可能で、Documentsフォルダからは、開くことができました。
まぁ、これでも使えなくはないのですが、ちょっと気持ちの悪い現象です。
 そこで、次にこの不具合を解消する手順について説明します。

3.解決方法

 結論から言うと、この問題は解決できました。対処するポイントは大きく次の3点です。

① NASのIPアドレスの固定
② NASとubuntuのユーザー名/ID、グループ名/IDの設定
③ NASドライブのマウント

4.考察

 対処方法の説明に入る前に、ちょっとだけ技術的解説をします。「開けるファイル」と「開けないファイル」の違いは何かというと、それぞれのアプリ実行に当たり、「書込」を行うかどうかによるものと思われます。

Office関連ファイルは、開くと、一時ファイルというものを生成する。動画ファイルについては、再生するときにやはり書込処理を行うんだそうです。それで、ubuntu側でこの「書込」処理を受け付けないために、アプリが実行できない!ということのようです。

そこで、フォルダ及びファイルのアクセス権限について確認します。(図5上)は、NASのフォルダ構成で、下はDocumentsのフォルダ構成です。

 Documents(下図:あるべき姿)の「所有者」「グループ」は、ubuntuで設定している「所有者名」「グループ名」になっているのに対して、NASの方(上図)は異なった定義が設定されているようです。定義が異なることにより、「書込」が拒絶されているものと推測されます。
 そこで、NASの所有者、グループの再設定を行っていくこととします。

5.諸々の設定変更

① NASのIPアドレスの固定:この資料上、NASのIPアドレスは、192.168.0.174とします。
 ルーターにつながっている機器のIPアドレスは、DHCPにより、変動することがあります。
後述の、マウント設定コマンドでは、IPアドレスを指定して記述するので、IPアドレスを固定させる必要があります。ルーター及びNASの設定で固定します。(ここでは詳細は割愛します。各々のルーター、NASの取扱説明書参照の上、各自設定してください。)

② NASとubuntuのユーザー名/ID、グループ名/IDの設定
 端末より、[id]コマンドで、ユーザー名/ID、グループ名/ID確認します。

(図6:[id]コマンド実行)

 ユーザー名=owl1963/ユーザーID=1000、グループ名=owl1963/グループID=1000 であることが確認できました。

 これを、NASに設定していきます。以下、Buffalo LS210Dを例に説明していきます。

まず、ブラウザにNASのIPアドレス(ここでは、192.168.0.174)を入力。NASの設定画面を起動します。

詳細設定をクリックして、、、> ファイル共有 > 共有フォルダー > share

とクリックしていくと、右図「共有フォルダー情報:share」という画面にたどりつきました。(図7)

(1).共有設定はできているみたいです。
(2).ファイル共有サービス=公開プロトコルSMBにチェックがついているので、大丈夫でしょう。
(3).ユーザー/グループの登録、権限付与
 ubuntuで使用しているowl1963は登録されてはいますが、読み書き権限は付与されていないようです。


こいつを、設定し直しましょう。画面下の「編集」ボタン押下、w/rボタンをクリック。(図8)

ローカルユーザー/ローカルグループのowl1963は、共にW/R権限付与に再設定できました。

ユーザー/グループの設定も確認しておきます。

これで、ユーザー名、ユーザーID、パスワードをubuntuの設定に合わせることができました。

同様に、グループについても設定し直します。

最後に、SMB共有プロトコルを、Ver.2に固定します。(図10)

③ NASドライブのマウント

③-1 一時的なマウント
 マウントポイントの作成:任意の場所(ここでは「/home/owl1963/」)に「ls210d」として作成。)
マウスポイント作成コマンド:mkdir -p /home/owl1963/ls210d

③-2 一時的なマウント実行 コマンドは以下のとおりです。
sudo mount -t cifs //192.168.0.174/share  /home/owl1963/ls210d -o username=owl1963,password=,uid=1000,gid=1000,vers=2.0

☆記述の意味
sudo:管理者権限での実行指示
mount -t cifs :マウント実行コマンド
//192.168.0.174/share:マウント対象(ここではNASのIPアドレス/共有フォルダ)
/home/owl1963/ls210d:マウントポイント 
username=owl1963:NASの所有者名
password=:NASのパスワード
uid=1000,:NASのユーザーID
gid=1000:NASのグループID
vers=2.0:SMB共有プロトコルバージョン

③-2 恒久的な設定
 ここまでで、技術的課題は解決できたのですが、PCシャットダウン、再起動すると、③-1の設定は消えてしまい、都度コマンド実行しなければなりません。
これも面倒なので、PC起動時に、自動的にマウントするように設定していきます。

 ③-2-(1) 事前準備:マウントユーティリティーソフトのインストール
sudo apt update
sudo apt install cifs-utils

 ③-2-(2) 事前準備:セキュリティー対策=>「home/owl1963/.smbcredentials 」ファイルの作成、
           ユーザー名、パスワードの記述

※図13より、「ファイル」ユーティリティーは、「Krusader」を使用しています。上記画面から直接テキストエディター起動できるので便利です。(「nano」コマンド使わなくて良い!)
インストールコマンド:sudo apt-get install krusader -y

③-2-(3) 設定ファイルに記述
 起動時に、マウント処理を自動で行う設定ファイル「/etc/fstab/」にコマンドを追加します。
Windowsユーザーにとって、「/etc/fstab/」の表記はフォルダーを意味するものと思われがちですが、この中身はテキストファイルです。
 記述する前に、バックアップはとっておきましょう。このファイルに不具合があると、システムが起動しなくなるので、注意しましょう。(私は過去に、ここで、失敗して、起動不能→OS再インストールを余儀なくされました、、、、)
 具体的記述ですが、「/etc/fstab/」の末尾に「//192.168.0.174/share /home/owl1963/ls210d cifs credentials=/home/owl1963/.smbcredentials,uid=1000,gid=1000,iocharset=utf8,_netdev,nofail,vers=2.0 0 0」と書き加えます。(図14)

☆記述の意味
//192.168.0.174/share:マウント対象(ここではNASのIPアドレス/共有フォルダ)
/home/owl1963/ls210d:マウントポイント 
cifs:ファイルシステムタイプ(SMB/CIFS)
credentials=/home/owl1963/.smbcredentials:ユーザー名、パスワードを読み込むファイルの指定
uid=1000,:NASのユーザーID
gid=1000:NASのグループID
ocharset=utf8日本語ファイル名などの文字化け対策:
_netdev:ネットワーク接続完了後にマウントする
nofailマウント失敗時に起動をブロックしない:
vers=2.0:SMB共有プロトコルバージョン
0 :ダンプ(バックアップ)を無効化
0 :ファイルシステムチェックを無効化

(以上GoogleAI Geminiさんから教えてもらった)

③-2-(4) マウント確認(念の為)
 以上で、対応終了ですが、前述のとおり、「/etc/fstab/」ファイルに不具合があると、システムが起動しなくなるリスクがあるので、念の為「mount」コマンドで、マウントが成功するか確認しておきましょう。

ちゃんとマウントされて、ファイルも中身も見え、ユーザー/グループも正しく反映されているようです。

これで、再起動かけても自動的にNASの共有フォルダがマウントされ、Office関連ファイル等、読込できなかったファイルも、読込可能となっているはずです。

最後に
私のPCをLinux化しようと思い立ったのは、2025年5月で、その時第一回目インストールを行いました。
その後、今回書いたNAS読み込めない問題に悩まされており、試行錯誤で諸々検討を行ってきました。
その過程で、起動不能→再インストールとか、トラブルに見舞われたりもしました。
しかし、諸々の書籍やGoogleAI Geminiさんの力を借りて、なんとかここまでたどり着くことができました。結構面倒くさくはあったのですが、基本無料でOS、アプリを活用できるLinuxの領域はこれからも大きな魅力のある世界だと思っています。この文書がどなたかの役に立てれば幸いに思います。
長々とお読みいただきありがとうございました。
 

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